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山行リスト/2022/2/5/尾勝谷塩沢 右俣・左俣 のバックアップ(No.5)


山行日2022年2月5-6日
山域戸台
ルート尾勝谷塩沢 右俣・左俣
メンバー丸山、原、水流

記録

早朝というよりは深夜、メンバー2人の宅へ車を走らせる。深夜の16号線はトラックばかりだが空いている。日の出ICから戸台まで2時間半思っていたより近い。8:00頃に戸台大橋の手前の路肩に到着すると1台先客がいる。出発の準備をしていると、さらに1台到着し先客の仲間のようだ。この週末は僕ら3名と他1パーティ(3名)の入山のようだ。

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僕が最後に尾勝谷塩沢へ入山したのは2009年3月。すでに13年も経過している。尾勝谷は印象深い山行だったので当時の記憶は鮮明に覚えている。初めて尾勝谷へ行ったときは、とにかくアプローチが長く苦痛だったが、静かな森とどこまでも続く多彩な氷壁に圧倒されて、下山する頃にはこのルートの虜になっていた。


多くのクライマーは尾勝谷のアプローチ5時間と聞くと行く気が失せる。日帰りは現実的ではないのでクライミング装備とテント装備を担いで長いアプローチをしなければならない。近年暖冬という事もあり近場で確実に凍っている氷柱を目指す傾向が高い。僕も同様に確実に凍っている八ヶ岳に行くことが多くなっていた為、チャンスがあれば脱八ヶ岳を考えていた矢先、ふと尾勝谷が思い浮かんだ。

尾勝谷の魅力とは何だろうか? 事前に書籍やWebでいくらでもルート情報は手に入れることはできるが、今回は地形図を引っ張り出してルートの確認をするところから始まった。過去3回入山しているが枝沢の数だけルートがありどこを登っても楽しめる滝が多く、未知の楽しさを秘めている。書籍に掲載されたルートが正解という事はなく自分で選んだルートがその人にとっての正解であり、その為にはどんな滝でもチャレンジできるスキルも必要だ。今までの経験をもとに地形図を見て氷柱のある可能性を考えたり、ギアの数を想定したり、行動時間の配分を考慮したり準備はいろいろあるけれど、ルートに入ったときに感性を研ぎ澄まして氷と対話しながら自分の登りたいラインを自由に登る要求に応えてくれるのが尾勝谷だと思う。

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話を戻すと、出発してから40分ほどで巨大な堰堤が現れる。過去13年前は建設中で左岸側に道がつけられていたが、現在は堰堤を乗り越えなければならない。事前情報から右岸側の階段にはハンドル状のステップがあり登りやすいとのこと。行ってみると右岸側を上がって良かったと思ったが、上部の階段が氷の傾斜になっていてアックスとアイゼン装着して乗り越えた。堰堤を過ぎると、小規模の水力発電所に到着。ここから先は塩沢に進み渡渉を何度も繰り返しテントを張る予定の二俣(1600m付近)までひたすら長い。ひたすら長いが森は豊かな風景で途中ゴルジュ状の岩壁から染み出したアイスギャラリーは観光名所になってもよいくらい綺麗な場所もある。

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二俣へ到着したのは13:30。休憩も含んで5時間のアプローチだった。テントを設置し湧き水を探したが、残念ながら雪に埋まっていたため取水できなかった。午後は右俣へ遊びに出かける。歩き出すと他パーティも右俣を進んでいたのでトレースをありがたく使わせてもらう。すでに14時を過ぎていることもあり右俣アプローチ途中の左岸の滝に切り替える。1ピッチのみだが多段の滝になっていて60m一杯まであり原さんリードで進む。帰りに水作り用の氷をザックに各自詰め込み17時前に水作り&宴会開始。1時間かけて水8L作り、原さんの持参の青梅のわさび漬けとチーズ、かまぼこなど頂きながら日本酒三昧でした。3名とも日本酒持ってきて合計2.5L。夕飯はすき焼きで予想通りうどん玉にはたどり着けず(1口だけ食べた)満腹。17時から22時まで5時間MSR全開燃焼してテント内はポカポカで日本酒飲み続け2.5Lが全て喉を通っていきました。美味しいすき焼き、つまみ、日本酒を味わい、いつ眠りについたのかあまり記憶がないけれど楽しい夜でした。

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翌朝、目が覚めると全員体調不良。すき焼きの霜降り肉の油と日本酒のダブルパンチで朝食のベトナムフォーは1人前を3人でやっと食べれた程度。朝食を重い気分で食べている間に他パーティは出発。30分ほど遅れて暗闇の中ヘッデンをつけて自分達も出発。気持ち悪い歩き出しの状態で左俣のトレースも他パーティに付けてもらったので助かった。
左俣はF1に着く少し前に明るくなってきた。F1は小さく倒木に埋もれた感じで左から巻いてF2に到着。他パーティはまだ登っておらず準備中だった。F2に着く頃には体調もだいぶ良くなり、他パーティが左の弱点をついたルートから登っていたので、こちらは中央の立ったラインを登る。氷の状態もよくアックスの刺さりも良い。自分でも手応えのある良い登りができた。

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F2を登り終えるとしばらく歩いてF3が現れる。スタートから垂直に近い氷柱だが高さが低いので楽に登る。F3を過ぎると谷は広く見渡せる景観になりロープは付けずに登る小滝が続くが、時間的ルート的に1950m付近の右岸にかかる滝を登り最終ピッチにすることに決定。登ってみると案外難しく。トップロープを設置し2本登って終了。この先を進めば滝の連発になり本当に楽しいことは判ってはいるが、楽しすぎて止まらなくなり下山路の暗闇の渡渉と巨大堰堤の懸垂下降を考えると苦渋の決断だった。朝の体調不良と他パーティとの懸垂待ちロスは想定外だったのが反省点。

名残惜しいが同ルート懸垂下降でF2まで戻りテントを撤収して12:30に下山開始。巨大堰堤は明るいうちに懸垂下降でき、16:00頃に車に到着。今回も充実した山行ができた。

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