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2017/7/5/穂高連峰 のバックアップの現在との差分(No.1)


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|山行日|2017年7月5日~7日|
|山域|北ア・穂高連峰|
|ルート|奥穂・涸沢岳の一般ルート|
|メンバー|青木(克)|

*記録
台風通過後の梅雨の晴れ間に、例年以上の残雪の残る穂高を歩き、昨年10月の第五腰椎骨折の本格的リハビリに行きました。
5日(水)朝02:30自宅出発。松本IC経由R158に入ると、道路管理者のWEBには記載の無かった規制雨量超えのため通行止めの電光掲示板が…。とにかく沢渡まで行くと、もう少しで通行止め解除、前日夜から上高地は孤立状態だったとの由。始発バス06:10より前に、タクシーが乗合客を集めていて、5名乗車で06:00には上高地入り。大正池も梓川も茶色の濁流。写真撮影したり、準備をして06:30河童橋発、09:30横尾着。台風のせいか、平日のせいか、誰にも会わず、徳澤も横尾も幕営者ゼロ。天気は良好のため、気分良く09:45横橋を渡り、新緑の森を歩く…と思いきや、樹林の中がまさかの濁流に。一瞬、踵を返して、蝶に登るプランへ変更する弱気なプランが頭をよぎったが、気を取り直して、この先の進路を検討。濁流の流芯は夏道登山道の続く左岸沿いで、とても歩けそうになかったため、樹木を伝いながら膝上の濁流を渡渉し、何とか右岸へ。そもそも通常は伏流となっている場所のため、広い河原を上流を目指しながら、左岸に戻る機会を伺うが、台風の豪雨の直後、渡渉できそうなポイントはなかなかなく、ついに濁流の岸から髙巻きの必要な地点に。地形図を冷静に検討した結果、屏風岩の麓は部分的な露岩はあるものの、顕著な急崖やガリーは無く、本谷橋で夏道登山道が右岸に渡り返してのち標高を稼ぐポイントあたりまで、右岸上部を進めそうな目途を立てる。それと同時に、今日は白出乗越の穂高岳山荘ではなく、涸沢の涸沢ヒュッテ止まりとすることで腹を決める。それからは、ルーファイ&藪漕ぎ&髙巻きの全知全能を発揮して、横尾から約4時間で道なき道を本谷橋より約100m上の夏道に飛び出しました。途中では濁流に洗われる露岩や、とても密な藪や、屏風から落ちてきた生々しい花崗岩の落石の散らばる林とか、3人は泊まれそうな岩屋とか、何十年前かわからないような「camping gas」の青いカートリッジとか見かけました。藪は密でトレースもありませんが、常に右方向に本谷の濁流が見えたり音が聞こえていたため、想定したルートを大幅に外す可能性は皆無でした。
夏道に出てからは高速道路、台風で閉じ込められた後の平日でとても空いている涸沢ヒュッテでのんびり過ごしました。今日横尾から入ったのは他にも2パーティほどいて、あの濁流の中、夏道登山道が一段上に上がるポイントまで樹木伝いに渡渉して進んだそうです。。涸沢のテン場は全て雪上幕営状態です。夕食後晴れて、美しい夕焼け&残照でした。



6日(火)04:20に起床してみると、見事なモルゲンロート。写真撮影大会。涸沢ヒュッテは山小屋としては朝食が遅く06:30とのことでそれまで待てず、行動食等で軽く済ませ06:00出発。ザイテンの途中までは全て雪上を歩く。雪の状態は微妙で、芯が固くなっていてキックステップは厳しいが、表面数センチだけ腐っていてアイゼンの効きが悪い。小豆沢は白出乗越まで雪が繋がっているが、狭い部分に落石が集中しているようなので、ザイテンに中間部から移動。トレースも旗竿もベンガラも一切ない雪面は快適。岩稜に緑が見える他は、残雪期の風景。白出乗越も残雪期さながらの雪の中。小屋で状況を聞いてから奥穂・涸沢岳を往復するが、道中一人も会わず。双方の山頂も独占状態。稜線は雪を踏まず、高山植物の花が美しい。穂高岳山荘前のテラスでビール飲みながら寛いでいると、奥穂方面から2パーティ現れた。外国人と仙台から来た人の2人パーティは岳沢からバリエーションを登り、前穂~吊り尾根経由との由。小屋には入らず幕営。あと1パーティは男性の単独行で、西穂から縦走してきたとのこと。何と、アイゼンもピッケルも持っていないそう。この残雪量の中、度胸というかなんというか…。翌日小屋でアイゼンを借りて下って行きました。夕刻は曇って小雨のため小屋の中に。ここはネットが通じるため、2日の日程を3日に延ばすことを各方面に連絡。小屋の人に横尾の渡渉の件を話すと、今日時点でも、小屋から下った女性が腰までの渡渉であったとのこと。白出沢については、橋がまだ渡されてないし、通過困難とのこと。翌日の水位低下を願って就寝。



7日(金)04:20起床、撮影に小屋の外に出るが、常念山脈あたりに低い雲があり、また、夏至から近いこともあって日の出の位置が東よりかなり北寄りであり、山影になった。それでも少し撮影し、05:30朝食、準備して06:30下山開始。数分毎に荷揚げヘリがヘリポートではなく、小屋前の雪上に荷物を下ろすため、タイミングを見て出発。昨日横尾の渡渉の話をした小屋の人によると、涸沢ヒュッテと連絡をした結果として水は引き「もうOK」との由。実は結局2か所も渡渉することになるのだが…。とにかく出発。小屋直下の小豆沢最上部の「のど」までアイゼンを付けて雪上を進むが、早朝なのに雪が腐ってアイゼンが利かず、また、非常に狭い場所があり、落石の逃げ場が無さそうなので、結局ザイテンを下ることに。とは言え、ずっとザイテンを歩くのもつまらないので、ザイテン上部にて、小豆沢とは反対側の雪渓に出て下る。トレースも無いし、誰も歩いていない雪上は、ザイテンの夏道よりはるかに雪山らしく快適。涸沢ヒュッテを素通りし、雪の切れるところまで歩いたところで、穂高岳山荘の美味しい弁当を食べ、夏山装備にして下る。藪漕ぎ&髙巻きの入山とは違って夏道だと横尾はあっという間。ところが岸の両側に人が立ち、二か所も渡渉があり、一か所は膝上程度の濁流。靴を脱いで足にビニール袋を被せている人もいたが、私はゴアの山靴にゴアのロングスパッツのため、強行突破。ま、目の前が横尾で休憩予定だから、と割り切りました。横尾で靴から水を出し、休憩しているとガラケー(僕はスマホとガラケーを携帯)が鳴動。何と横尾でもauの3Gはアンテナ3本立っていました。登山道は終了していたので、ここで下山連絡。あとは徳澤でソフトクリームを食べ、河童橋へ下山。梓川は水量は多いものの、入山時の濁流とは異なり、清流に戻っていました。ゆっくり写真を撮って16:55のシャトルバスに乗って沢渡に戻り、車を拾って少し戻って「沢渡温泉」で汗を流して帰りました。

 初日に横尾大橋を渡った地点での濁流に怯んで蝶に転進しなくて本当に良かったです。腰の骨折以降、5月から9週連続で今熊は復活していましたが、小屋泊とは言え残雪多い穂高に行けて幸いでした。3月から仕事を変わったため、平日の山に行けたことも大きなメリットでした。登山道、宿泊、全てが空いていました。横尾~本谷橋の右岸は、樹林帯のルーファイ力の再確認になりましたし、真夏の硬い雪渓ともGWの腐った雪とも厳冬期のクラストや新雪とも異なる「微妙な」雪面への対処は新たな発見でした。


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午後の涸沢に到着。雪少ない。平日のためテントもまだ満員ではなかった。
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翌日の好天を約束する夕日に照らされる前穂。
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奥穂に向かう梯子。混雑はしていなかった。ヘルメットが普及し、8割以上の人が装着。
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奥穂頂上。左下に前穂が見える。
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涸沢岳より槍・北穂。
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午後はテン場でのんびり。
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奥穂~涸沢岳のモルゲンロート。
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前穂北尾根は南陵のこのあたりから見るのが一番か。
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北穂山頂と槍ヶ岳。
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常念をバックに。
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ガスのからむ前穂。明日は下山。
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